Tuesday, December 12, 2017 11:02バブルではなかった2017年。2018年の不動産市場の懸念材料長嶋修長嶋修さんの不動産投資市場の羅針盤 【健美家】不動産投資コラム
2017年はいろんなことがありました。まず政治的には、モリカケ問題で国会が揺れる中、民主党山尾志桜里議員の件を契機とした9月25日の衆議院選挙。

小池百合子都知事による希望の党結成、前原誠司民進党代表( 当時 )による合流宣言、小池都知事の排除発言、枝野幸男氏による立憲民主党立ち上げ、稲田朋美防衛大臣( 当時 )が「 防衛省自衛隊としてお願いする 」と投票を呼びかけるなどのミスが続く中、結局は自民党の圧勝と、めまぐるしい展開でした。

選挙では、20代の若者による自民党の投票割合が高かったことが意外視されました。NHK出口調査では、自民党に投票したのは、20代が50%と最も高く、30代42%、40代36%、50代34%、60代32%、70代以上が38%など。

これは、若者が憲法改正を支持しているとか右傾化したとかいう話ではまったくなく、結局は「 雇用 」です。失業率は3%を割り込み、人手不足状態が続いています。

むろん、「 2012年12月の政権交代から始まった景気回復局面が高度成長期の『 いざなぎ景気 』を超えて戦後2番目の長さになった 」と言われても実感がない、所得が上がっていないといった批判もありますが、雇用が逼迫した先には賃金上げしかありません。

アベノミクスを打ち出した当初のシナリオ通りに進んでいるとはいえないものの、概ね及第点である、なにより就職に困らないといった状況を評価しているわけです。

これは政権交代前の民主党政権には期待できなかったことですし、他の政党に任せられそうなところが見当たらない、といった消極的な選択ということもあったかと思います。いずれにせよ政治的には安定しました。

■ 日本経済の懸念材料は北朝鮮の暴発

米経済は鈍化する懸念こそあるものの好調で、このまま行けば2018年の日本経済は、概ね良好であろうと見ていいのかもしれません。

とはいえプライマリーバランス基礎的財政収支 )を過度に意識し、半ば国際公約としてしまっている状況では、さらなる積極的財政出動も望めず、日本経済は「 ほどほど 」で進んでいくのでしょう。

気になるのは北朝鮮の暴発。仮にミサイルが日本に飛んで来るようなことがあればいうまでもなく大混乱ですし、米国が先制攻撃を仕掛けるなどのケースでも、趨勢によっては周辺国である日本にどのような影響があるのかわかりません。株価や、ましてや金利に大きく影響をあたえるようだと深刻です。

不動産市場においては「 バブルだ 」「 暴落だ 」と騒がれた一年でしたが、実際にはそんな環境下にはありませんでした。

バブルだという主な根拠は、新築マンション市場の価格上昇や売れ行きの鈍化でしたが、リーマン・ショック前のプチバブル期と今とでは、状況が異なります。

供給戸数は半減、立地の選別化、物件の大型化が進み平均価格を押し上げているのと、大デベロッパーによる市場寡占が進み、供給調整が容易にできるほど市場の弾力性が高まっていることから、崩壊する要素はどこにも見当たりません。

新築マンション市場は今後も供給戸数を減らし、低額物件が減ることから平均価格は上昇、売れ行きはデベロッパーがコントロール、といった状態が続き、バブルやその崩壊の震源にはなりえないでしょう。

■ 2018年の不動産市場は2017年とそう変わらず?

唯一、アパート建設だけはある意味バブル化していたといっていいでしょう。2015年の相続増税を契機としてアパートが乱立し、一部では市場の需給を大幅に崩しました。しかしこれも日銀が警鐘を鳴らす、金融庁により金融機関への監視強化などで概ね沈静化しています。

そんなわけで、2018年の不動産市場は概ね、2017年の延長線上において巡航速度で進むものと思われます。ただし前述したとおりの地政学的なリスク、リーマン・ショック級の世界的な経済混乱、大規模災害などがない限りにおいてです。

しかし、長期的な不動産市場を見渡せば、おおきく3極化するのは既定路線。「 価値を維持する、あるいは 価値が上がる不動産 」「 なだらかに下落し続ける不動産 」「 限りなく無価値になる、 あるいはマイナス価値となる不動産 」といった具合です。

またこのまま行けば空き家数・空き家率は層化するばかりで、マクロで見れば不動産投資家には向かい風といえます。

2019年夏に公表される総務省の住宅・土地統計調査では、全国の空き家率は15%超え、空き家数は1,000万戸を有に超えたといったアナウンスが大々的に行われるでしょう。また、同年10月には消費再増税が控えています。

不動産投資市場への参入意欲はあいかわらず旺盛であることに変わりはないと思いますが、現行の利回り水準を超えるには、株価など各種ファンダメンタルズに相当変化が起こる必要があります。またビットコインなど各種仮想通貨の登場は、不動産投資市場参入を緩和させています。

とまあ、そんなこんなで、来年の展望をざっくり書いてみましたが、果たしてどうなるでしょうか。来年もあなたと不動産との関係がより幸せに結ばれますようお祈りします。